RateItAll

 常識とは何か。これが実はこのサイトが手繰り寄せようとしているターゲットではないか、と考えさせられてしまう。例えば、どのミュージシャンがどう評価され、他のミュージシャンと比較してどのくらいのランキングに位置づけられているか。多数の人間が集まって見解を蓄積したとき、世間一般の平均的な「常識」が浮かび上がってくる。

 「常識」とは極めてあいまいで、つかみ所がなく、かつ日々変化しているものだ。ある事件をきっかけに「常識」のスタンダードが地殻変動を起こす、といったことだってあるだろう。「常識」は文化だから、国や民族によって異なるだろう。こんなとんでもないシロモノを掴み取り、表現しようという試みがこのサイトだ。

 RateItAllはこの目的のために二つの場を用意している。一つは「Topics」で、これは見解や評価を文章で表現する場だ。もう一つは「WebLists」で、これは「評価」を点数化し、それをランキング形式で並べたものだ。これら二つの形式で「常識」のラインがどの辺にあるか、見つけ出そうと言うわけだ。

 対象は幅広い。例えば「金持ちについて」「政治について」「旅行目的地について」「スポーツについて」「ちょっとしたビジネスについて」などなど。要するに何でもいいのだ。これらのアイテムのそれぞれについて、できるだけ多くの人の見解が集められたとき、このサイトは「常識」の発言者として威力を発揮するかもしれない。

 形の上では、RateItAll はオンラインコミュニティである。似たような関心を共有し、信頼にたるレビューのネットワークを構築し、共有する人々とつながりあうことができるコミュニティサイトだ。だが、この試みは同時に「常識」を再構成しようとする野心に満ちた挑戦でもある。