マイクロソフト社の逆襲なるか オフィスシステムの Web 2.0 化を目指す白書発表


 マイクロソフト社は先日「Bringing Web 2.0 to the Enterprise with the 2007 Office System 」という白書を発表した。


 24ページにもわたるワード文書として公開されている。ダウンロードはこちらから。
 ⇒ http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?familyid=8B48BD31-F043-4AB4-96EB-C6E958FE4EC9&displaylang=en

 
 その内容は主に次の2点である。

 ① XMLAjax などの技術が Web 2.0 環境を飛躍的に発展させた現状の分析。

 ② オフィスシステムをこの Web 2.0 環境 の進化にいかに融合させてゆくか、という課題とその方向性の提示。


 特にこの②に関しては、アプリケーションの名前も含めてかなり具体的な改革の方向性を明らかにしているので、その点を要約してみよう。

 まず、各オフィスアプリの Web ベース化を提案している、例えば、

 ① Outlook を Web 上からアクセス可能にする。
 ② Excel Spreadsheets をブラウザー上でビュー可能にする、など・


 それに加えて新たなアプリケーションを提案している。例えば、

 ① 「SharePoint Products and Technologies」。
   これによって、カレンダー、スケジュール、文書、コンタクトリストなどのチーム内での共有が可能になる。
 ② 「Office Communicator」。
   インスタントメッセージの交換を可能にする。
 ③ 「Web Content Management」。
   共同編集可能なWebサイト構築システム。


 中でも中核になるのは「SharePoint Products and Technologies」だろう。このマイクロソフトが提供するサーバーサイドのアプリケーションにアクセスすることによって、ユーザーはチームによる共同作業を行うことが出来る。

 この技術によって、従来のオフィスの各ファイルを共有され、デスクトップのオフィスとの強力な融合の可能性が図られる。

 さらにテンプレート機能によって、ユーザーが豊富なインターフェースを選択できたり、あるいは独自にカスタマイズしたり、開発したりすることが出来る。

 「SharePoint Products and Technologies」において、ユーザーはブログや Wiki を通して情報を発信し、共有することが出来る。また投稿されたブログの記事などをアグリゲートすることによって、チーム内でのコミュニケーションを円滑にする。

 などなど、大雑把に今回の提案を展望してみたが、それはマイクロソフト社の「戦略の大転換」とも呼ぶべき大改革なのであろうか。今回発表されたのは主には企業向けのサービスと言えよう。これらがどのていどの価格で提供されるのか、また個人向けにはどうなのか、など不明な点は多い。

 また、今回の提案では、GoogleZoho が展開しているオフィス各ソフトの本格的なオンライン化に踏み出すものとは到底考えられない。その評価にはしばらく時間がかかるだろう。

 ただ、マイクロソフトが今後ますます発展しそうな Web 2.0 環境への適応を模索していることは間違いない。マイクロソフトの逆襲がついに始まった。とぐらいは言えそうであろうか。


 
  「SharePoint Products and Technologies」の概要