Wikipedia が伝えるフセインの処刑

 Wikipedia はすでにフセインの処刑に関する事実、メディアの報道、各国での反応などを詳細に伝えた1項目を付け加えた。

 ⇒http://en.wikipedia.org/wiki/Execution_of_Saddam_Hussein

 ページが作られたのは「22:20, 28 December 2006」。実際に処刑が行われたのが「06:07 local time (03:07 GMT) on December 30, 2006」と推測されているから、まだ噂の段階で記事が起こされたことになる。

 「history」を見てみると、以降31日03:30(18:07 GMT on December 30)現在にいたるまでこの記事に関して約1000あまりの更新がすでに繰り返されていることがわかる。

 正確に数えたわけではないが、おそらく100人近い人物がこの記事の更新に参加していることになる。わずか15時間ほどの間にこれだけの共同作業がすでに繰り返されてきたことにまず驚きを禁じえない。

 もちろんフセイン処刑というニュースへの関心の高さも驚くべきことだが、それ以上にこの「Wikipedia」というメディアへの関心の高さにわれわれはもっと注目すべきかもしれない。

 この記事の修正に参加した人の中には、処刑を歓迎する人、批判的な人、中立的な人、いろんな人たちがいるに違いない。国籍も宗教も異なるだろう。

 しかし、立場を超えて彼らは「Wikipedia」に集まっている。そしてその記事内容に深い関心を寄せている。少しでも自分のセンスと会わない箇所があるなら、積極的に修正を求める。

 今回の「Wikipedia」における更新の素早さを見ていると、「Wikipedia」が単に辞書というよりある種のテレビの報道番組であるかのような錯覚を覚える。

 そこでは、ひとつのニュースがいかに作られていくか、そのプロセスをリアルタイムで覗きながらニュースを聞いている感じがするのだ。世界中の立場の異なる人々が参加する共同作業。だからこそ生まれる葛藤や軋轢。その内幕が暴露されているかのようだ。

 これからさらに記事に対する修正作業への参加者は増してゆくだろう。今回の処刑の評価に関してはきっといろんな見解が登場してくることが予想されるからだ。できればもう少しフォローしてみたい。

   
    1番最初の「Wikipedia」のフセイン処刑に関する記事
    


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